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ディープラーニングを活用した医療機器が承認されるまでの道のり (前編)

EIRL Editor
Sep 8 2020

本記事は、2020年5月に開催された「第79回 日本医学放射線学会総会」の共催セミナーにて、慶應義塾大学/医学部放射線診断科 特任助教 橋本 正弘 医師と、エルピクセル代表取締役 島原佑基とエンジニア ショパン・アントワンとの対談をまとめたものです。

MRAから脳動脈瘤を検出、難易度が高い領域から挑んだ理由

橋本
深層学習を応用した医療機器製品の中でエルピクセルは少し異色を放っているのかなと思っています。というのは、色々な会社が参入してますが、マンモグラフィー、胸部レントゲン、頭部CT、胸部CTの様なマーケットが大きく、且つ入りやすい、そんなに難易度が高くないところを取っ掛かりに始めているように感じます。そのような中、なぜ、エルピクセルはMRAを課題として選択されたのか、どういうビジョンがあってそこを選択したのでしょうか。


島原
EIRL Brain Aneurysm 研究開発の動機といったところですが、よく聞かれます。主に三つの理由があります。
一つ目の理由は、我々のパートナーである一人の医師です。その方は、脳動脈瘤検出AIがあったら率直に嬉しい、(脳動脈瘤が)1 mmや2 mmでも非常に小さいうちに早期発見することで予防につなげるという点に特に強い思い入れがある先生でした。我々は「ミッションドリブン」でこの会社やっておりまして、パートナーの先生の強いミッションや使命感がですね、我々を動かす一面がございますし、それが一番大きな動機になっています。

詳細はパートナーである北村医師インタビュー「医療AIで見逃しを防ぐ、待ち望んでいた日がついに来たにて

EIRL Blog

二つ目は、脳ドックという言葉は日本で生まれたとも言われておりますが、ここは日本の競合優位性が保てる分野だなと魅力的に感じておりました。テクノロジーはグローバルですので、日本から世界へといったことを考えると、最適な領域ではないかと思っています。CT なら CT 値、絶対値がある、またX線ですと2次元である、確定診断があるという中で、MRAは絶対値のようなものはないですし、解像度もCTほど高く、かつ三次元。技術力を掲げた会社だからこそ、技術的に難しいところを挑戦したい。ここさえクリアできれば横展開することは容易だろうということで、最初に取り組む良いテーマだったと思ってます。

医療AIベンチャーが育ちにくい、日本?

橋本
では、島原さんに聞きたいのですが、日本の医療分野に限ったAIベンチャー企業というのは相対的に少ないというのが個人的な印象ですが、島原さんとしてはどういうふうな印象を持っているのでしょうか。


島原
そうですね、私だけでないと思いますけれども、率直に残念です。


橋本
残念・・・、ライバルが少なくて残念?


島原
日本にはなぜ少ないのか、日本人は残念に思ってるんじゃないでしょうか。2019年「RSNA(北米放射線学会)」での「AI Showcase」に出展した130社を見ても、日本 からのAI ベンチャーは我々1社。アメリカ、イスラエル、中国、韓国は多く、韓国では10社以上出展していることを考えると、やはり少ないなというのは一目瞭然だと思っています。


橋本
どういった要因があるのか、というのは何か感じている所はありますか?


島原
大きく二つあって、一つはそもそも 日本においてAI ベンチャーが少ないことですね。まずはこれが大前提で、中国、アメリカと比べればそう言えるのではないでしょうか。
もう一つは、起業家側からすると、やはり医療に対するハードル(参入障壁)が大きい、少なくともそう思っている人が多いと思います。情報系ベンチャーからすると、法規制対応もそうですし、日本の医療は社会的、つまり行政がバックアップする面が大きいですが、アメリカでは民間の保険会社が結構幅を利かせていたりということもあり、民間企業が医療に参入しやすい風土というのがあるのはないでしょうか。


橋本
中国も民間企業が入りやすい風土というのはあるんですか?


島原
入りやすい風土としては「規制」の存在が大きいと思いますが、中国におけるCFDA:国家食品薬品監督管理総局(日本におけるPMDA:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のような認証機関)では、日本でいう「医療機器承認」を取得していなくても、これは意見がいろいろあると思いますけれども、世の中に出すことができる。法規制、個人情報の取り扱いなどの制限次第で、「参入しやすさ」は変わってくるのだと思っています。

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