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日本の画像診断② -CT, MRI台数, 撮影回数のOECD諸国との比較-

EIRL Editor
Apr 23 2020

現在、CTとMRIによる画像診断なくして、医療は成り立たないと言っても過言ではありません。一方、我が国では、他国と比べて医療被ばくが多いことも問題視されています。

前回は、我が国のCT, MRIの総撮影回数(2018年)についてまとめてみました。今回は、日本のCT, MRI装置台数や撮影回数を世界各国と比較してみようと思います。

OECDが公開している統計データを用いて世界のCT, MRI装置台数や撮影回数を求めることができます。OECD(経済協力開発機構)とは、ヨーロッパ諸国を中心に、日・米を含め34 ヶ国の先進国が加盟する国際機関です。

まず、Webから「OECD health care activities 2019」(.xlsファイル)をダウンロードします(図1)。

図1. OECD health care activities 2019

図1における「人口あたりのCT, MRIの台数あるいは撮影回数」の項目をクリックすると、1990年以降の各国のデータを見る事ができます。例として、図2に各国の人口100万人あたりのCT装置台数のデータを示します(詳細は後述)。

図2. 人口100万人あたりのCT台数(1990~2015)

2015年以降は各国のデータがそろっていないため、2014年のデータをまとめました。上段が、CT, MRIそれぞれの100万人あたりの台数、下段が、CT, MRIの総台数(それぞれ上位5位)を表しています(図3)。CTにおいては、100万人あたりの台数、総台数共に日本がトップ、MRIにおいても、100万人あたりの台数は日本がトップ、総台数は米国について2番目の多さでした。特に、100万人あたりのCT, MRI台数は、ダントツのトップでした。

図3. (上段)100万人あたりのCT, MRI台数、(下段)CT, MRIの総台数

では、CT台数の多い日本は、やはり単位人口あたりの撮影回数も多いのでしょうか?結果は、図4の様になりました。

図4. (上段)1,000人あたりのCT, MRI撮影回数と(下段)CT, MRIの総撮影回数

図4から、1,000人あたりのCT, MRI撮影回数が日本以上に多い国が、米国やヨーロッパ諸国に数ヶ国あることが分かりました。確かに、日本も世界的には多い部類に属しますが、図3の「100万人あたりのCT, MRI台数」は、日本がずば抜けて多いことを考えると、1,000人あたりの撮影回数(CT:176回(6位), MRI:98回(4位))は意外に少ない、と言えるかもしれません。一つの理由として、日本は、小さい病院や個人の開業医などでもCT, MRIを入れますが、海外では、主に中規模~大規模の病院でしかCT, MRIを入れないということが挙げられると思います。

エストニアの1,000人あたりのCT撮影回数(585回)は、異常に多い気がしますが、OECDのデータにも、(Difference in Methodology)と注意書きがしてあるので、集計方法に何か違いがある可能性は否めません。

また、日本のデータはなぜかOECDのデータには記載されていませんでしたので、前回紹介した厚労省のデータを用いて概算しました。各国の医療被ばくの程度を比較した論文[1]でも、「日本のCT検査データは公表されていない(OECDのデータに載っていないということだと思います)ので、他の医療先進国並みと仮定して推計」していました。日本もOECD諸国と同様に、国内の各種診療行為データをOECDデータに公開し、医療被ばくを初めとした、様々な統計解析に活用できるようにすべきだと思います。

ちなみに、先程のLANCET論文によると、1,000人あたりの日本のX線検査回数はダントツトップ(約1,500回)です(図5)。上でも書いたように、この日本のデータは「CTの検査データ頻度を他の医療先進国並みと仮定して推計」されています。つまり、このデータは、「CT以外のX線撮影(単純撮影、胃・腸バリウム、血管造影などの合計)が、日本は他国に比べて格段に多い」ということを意味しています。

図5. 1,000人あたりのX線検査回数とがんになるリスクとの関係 [1]

以上、日本のCT, MRI装置台数や撮影回数を世界各国と比較してみました。国全体として考えると、日本は、CT, MRIとも台数、撮影回数において世界1位, 2位の多さを誇ります。また、X線撮影全般の件数は、世界1位です。しかし、その割に放射線科医の数が少なく、放射線科専門医は6334名しかいません(平成25年8月時点)。1人の放射線科専門医あたり、年間約5000回分の検査画像を見ていることになります。また、診断の難しい疾患になればなるほど、読影のスキルも必要になるため、放射線科医1人当たりの負担はより大きくなります。

今後、日本の豊富な医用画像データ量を活かした人工知能による画像診断により、放射線科医の負担を減らし、より安全で高精度な画像診断が進んでいくことが大いに期待されます。

【参考文献】
[1] A. Berrington de GONZÁLEZ and S. DARBY, Risk of cancer from diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries, , Lancet, 363, 345-351 (2004).

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