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AI医療機器プログラムのバージョンアップ問題
今月(2021年1月)、FDAより “Artificial Intelligence/Machine Learning (AI/ML)-Based Software as a Medical Device (SaMD) Action Plan.” というAction Planが発表され、話題となった。ここでは、近年増加しているAIを活用した医療機器プログラムに対する課題をまとめ、そのAction Planが示されている。AIで特に問題として挙げられるのはバージョンアップについてである。現在、既存の医療機器とは比にならないほどバージョンアップの頻度が高いAIについて、新しい審査方法等が求められて...
医用画像位置合わせの基礎⑧〜非線形変換を用いた画像位置合わせ〜
今回は、非線形な画像変換を用いた位置合わせを紹介します。線形あるいは非線形な変換とは、どういう意味でしょうか? まず、平行移動と回転だけを用いた位置合わせは、形が変わらない(剛体)ので、「剛体位置合わせ」と呼ばれます。また、平行移動と回転だけでなく、拡大・縮小等の変形も含まれるアフィン変換は、形が変わっている(非剛体)ので、「非剛体位置合わせ」と呼ばれます。しかし、両者とも変換前後の座標の関係は、下のような線形変換な表現行列(アフィン変換行列)で表されるので、「線形変換による位置合わせ」と言えます。 一方、上のような線形変換な表現行列で表すことができないような画像変換による位置合わせを「非線形...
医用画像位置合わせの基礎⑦ 〜Fiji pluginを用いたアフィン変換による画像位置合わせ〜
今回は、ImageJの拡張版Fijiのpluginを用いて、アフィン変換による画像位置合わせを実装してみます。 前回の記事で述べたように、アフィン変換によって、拡大縮小、回転、平行移動を組み合わせた画像位置合わせを行うことができます。アフィン変換による画像位置合わせには、画像強度を用いる方法と特徴点を用いる方法がありますが、今回は、特徴点を用いる方法で行います。 今回は、元画像を1.5倍に拡大、時計回りに30°回転、X,Y方向にそれぞれ30 pixels平行移動させた画像(図1参照)を作成し、この画像にアフィン変換を施して元画像に位置合わせすることにトライしてみます。 まず、Fijiのplug...
医用画像位置合わせの基礎⑥ 〜アフィン変換とは?〜
今回は、画像位置合わせに用いられるアフィン変換を紹介します。 アフィン変換とは、2つの画像における座標の線形変換を意味しており、拡大縮小、回転、平行移動を組み合わせた位置合わせに用いられます。アフィン変換において、変換前の座標 (x_n, y_n) と変換後の座標 (X_n, Y_n) の関係は以下のように表されます。 この式を行列で表すと・・ このように、変換後行列は、アフィン変換行列と変換前行列の積としてと表わされます。また、アフィン変換行列は、λ(拡大縮小率)、θ(回転角度)、(T_x),(T_y)(平行移動距離)を用いて上式のように表すことができます。 ここで、それぞれの行列の形や順番...
医用画像位置合わせの基礎⑤~Fiji pluginを用いた画像位置合わせ~
前回紹介した、LPIXEL社のImageJ registration pluginに引き続き、今回は、FijiというImageJの拡張版ソフトを使った画像位置合わせを紹介しようと思います。ちなみに、FijiでもImageJと同じくpluginやマクロを自作して追加することができます。 まず、位置合わせしたい2つの画像を開いてから、plugins > Registration > Rigid Registrationを選択します(図1)。Rigid Registrationとは、画像の平行移動と回転を組み合わせた位置合わせのことです。 今回は、元画像を時計周りに30度回転+縦横方向に...
医用画像位置合わせの基礎④ 〜LPixel ImageJ pluginを用いた画像位置合わせ〜
今回は、ImageJという画像解析ソフトを使って、画像位置合わせにトライしてみようと思います。 従来のImageJには、画像位置合わせの機能が搭載されていませんでした。ところが、ImageJは、Pluginとして自作した機能を追加することができるのです。今回は、弊社が開発・公開しているPluginの中で、画像位置合わせのPluginを使います。ImageJへのPluginのインストールについては、下記のリンクを参照してください。 今回は、脳MRI画像を縦、横にそれぞれ30(pixels)平行移動させた画像を元画像に位置合わせする、という操作を行ってみます。 図1は、Plugin(LPX reg...
医用画像位置合わせの基礎③ 〜MRI画像を使った相互情報量の計算〜
今回は、前回紹介した相互情報量の概念を画像に応用し、実際のMRI画像を用いて相互情報量を計算することにより、画像の類似度を評価してみようと思います。 ①2つの画像の相互情報量を求める 2つの画像A, Bにおける相互情報量とは、前回述べた相互情報量の考え方により、「画像Aの画素値を知ることによって得られる画像Bの画素値についての情報量」ということになります。これはまさに、相互情報量が画像の類似度を表していることを示しています。例えば、2つの画像が全く同じならば、相互情報量は最大になり、2つの画像が全く無関係ならば、相互情報量はゼロになりますね。 簡単のため、2つの画像A, Bの画素値をいずれも ...
医用画像位置合わせの基礎② 〜相互情報量とは?〜
近年、放射線診断や放射線治療において、医用画像位置合わせは重要な技術になってきています。ここでは、医用画像位置合わせに興味のある学生、研究者向けに、医用画像位置合わせに必要な基礎知識をまとめて紹介しています。 今回は、前回に引き続き、医用画像の位置合わせにおいて用いられる「画像の類似度の指標」についてですが、その中でも特に、異なるモダリティで撮影された画像同士の位置合わせに用いられる「相互情報量」について紹介します。もともと「相互情報量」は、情報通信分野で用いられる用語ですが、これがどのように、画像解析に関係してくるのでしょうか? 実際のMRI画像を用いて相互情報量を計算してみようと思いますが...
医用画像位置合わせの基礎① 〜画像の類似度とは?〜
近年、放射線診断や放射線治療において、医用画像位置合わせは重要な技術になってきています。ここでは、医用画像解析に興味のある学生や研究者のために、医用画像位置合わせに必要な基礎知識についてまとめました。今回は、画像位置合わせに用いられる「画像の類似度の指標」を中心に紹介します。 2つの画像間で、片方の画像を移動、回転、変形させることにより、もう片方の画像に合わせこむ手法を画像位置合わせ(Registration)と言います。このRegistrationの技術は、医療現場において、様々なモダリティーから得られた画像の重ね合わせ(例えば、CT画像とMRI画像、MRI画像と PET画像など)に用いられ...
CTの原理②〜投影切断面定理とCT再構成の実装〜
前回の記事では,CTの投影がRadon変換によって与えられることを示し,それをmatlab のコードにより実装しました。具体的には,投影領域に対して,ある角度で投影した際,以下のように与えられることを説明します。 ここでδはデルタ関数と呼ばれるもので,0になる部分で1,他の部分で0になるようなものです。 本記事で考えている題材は,いろいろな角度から投影が得られたとき,Objectを完全に復元できるのか?という問題です。 結論をいうと,出来ます。これには,投影切断面定理と呼ばれる以下の定理を用います。 投影切断面定理 投影切断面定理とはCTの投影とその領域の2次元フーリエ変換とを結びつける定理で...